BAR和音-仙台ぶらり一人旅編

こちらのブログではもうお馴染み、さすらいのDJ兼航海士ushiro氏による仙台レポが届きました!


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仕事で宮城県は仙台に行ったので、どこか音遊びできるところはないものかと検索した結果、目に留まったDJ BAR和音に訪れた。

 


夏至の翌日、『FULL MOON NIGHT』と題された、STBと空中水泳をゲストに招いたイベントが行われていた。




STB:Satoshi Fujiseのソロプロジェクト。Beatに乗せてGuitarをLoopさせるトラックメーカー。

空中水泳: DJ/作曲/絵/コラージュ/実験 北陸⾦沢を拠点に全国をドライヴ、ジャンルレスな独特の世界でクロスオーバーする。

 

 


BAR和音に到着するとホストのDJがプレイしている最中だった。ヒップホップからダンス、トライバルに渡りジャンルレスでプレイしていた。それでいてPopさを排除した選盤は全てにおいてVinylで行われていた。

仙台といえばSTORE15NOVというレコード屋が印象深い。
実験音楽、industrialを中心とした品揃えのお店で、ここもPopさは皆無である。
仙台にはそういった文化が根付いているのかもしれない。

またBAR和音の店内の片隅ではレコードが箱売りされており、オールジャンルを扱っている中でシカゴのJamal MossによるプロジェクトHIEROGLYPHIC BEINGなどの盤も混ざり込んでいた。



なにぶん遠方関西からの一見客である私、場に馴染もうとまずは酒を煽りにバーカウンターへ向かった。
スタッフさんからラミネートされたメニューを渡され、『B面にもメニューが書いてますので』と裏側も見せられた。
「B面」・・・。もはやこのお店でメニュー表はレコードと同じ扱いなのだ。音楽が浸透しているこのお店の事が気に入った。



ジントニックを数杯煽っているとSTBがライブの準備に取り掛かり始めた。
と、そこでギターアンプがノイズを鳴らしだす。
それは映画『Blow-Up』にてThe Yardbirdsのライブシーンでジェフベックのギターアンプが故障する音に似ていた。
(劇中ではそれに腹を立てたジェフベックがギターを破壊している。STBはそこまでしなかったけれど)
すかさず店長らしき方が現れて『この子今日は不機嫌ですね〜』と場を和ませて言い逃れていたのが微笑しかった。



DJがレゲエのトラックでフェードアウトし、STBのライブが始まった。ギターをループエフェクターに記憶させて音のレイヤーを増やしていく様は、ドイツのギターレジェンドManuel Göttschingを彷彿とさせるアンビエント・テクノの世界だった。二曲目からはサンプラーからビートも流し始め、ダンス・トラックへと繋がっていった。

一時間近いライブを終えると、空中水泳のDJがスタート。彼の選曲もやはりポップさは皆無で、CDやUSBを駆使したプレイだった。中盤ではグランドピアノのストリングスを用いた曲が増え、次第に坂本龍一『/05』から「Thousand knives (Piano cover)」へと繋がれた。この曲がDJでかかるのを初めて聴いた私は、衝動的にDJブースの前に駆け寄った。

ほぼフルコーラスで「Thousand knives」が流れた後、EL NINOの「SAKAMOTO VS FREEZ」へと繋がった。坂本龍一のサンプリングといえばShut Up & Danceの「Green Man」が有名だが、EL NINOのそれはシンプルながらも良さが際立っていた。

その後、流れはヒップホップへと展開し、仙台の深い夜へと吸い込まれていった。

音楽と文化が溶け合う仙台の夜、この街の深みを再認識した。

 

 

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 Text by ushiro  
音楽レーベルTecchu Co.,Ltd.を運営する神戸在住のDJ兼航海士。現在Label artist ”Ku’damm”の新曲を絶賛レコーディング中!
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